こんにちは。
神奈川県川崎市の磁器絵付け教室
アトリエセラン なが田カガリです。
今回は 陶磁器メーカーの最高峰
《マイセンの歴史について》です。
陶磁器メーカーの最も有名で
最も高価でもある
マイセン窯の歴史について
色々と調べたことを
小学生でも理解できるレベルまで
かみ砕いてまとめました!
前回までの記事で書きました
ポーセリンアートの基礎知識
~ポーセリンペインティングの歴史について
画像をクリックすると前回の記事にジャンプします。↓↓↓
人に歴史ありと言いますが
物にも今のスタイルになるまでには
様々な歴史があります。
マイセンの歴史でも
世相や人間の欲望が
芸術を生み出すために
ドラマチックに展開されていきます。
芸術を生み出すのは
命がけで向き合う人がいるからこそ
成り立つんだなと感慨深いものがあります。
時代背景なども頭に入れながら
お読みいただけたら嬉しいです。
・ポーセラーツ認定講師
・彩色チャイナペインティング本部講師
・ペット肖像画作家
で、特別な日にはマイセンのティーカップで
ゆっくりとお茶を楽しんでいるひと
です!
そんな私の正体は→プロフィール
それではさっそく本題に入りましょう。
目次
ポーセリンアートの基礎知識~マイセン窯の歴史について
ではここからは
有名な製陶メーカーの歴史について
シリーズでお話していこうと思います。
先ずはヨーロッパの白磁の
発祥の製陶メーカーの マイセンです。
ポーセリンアートの基礎知識~陶磁器界の頂点を極めるマイセンとは
1709年、ヨーロッパで初めて
白磁の焼成に成功したのがマイセンです。
それ以来今日まで
ヨーロッパ陶磁器界の
最高峰の地位を誇っています。
マイセン窯設立の由来は
東洋の磁器に魅せられ
コレクターであった
東洋の磁器と同じものを
ヨーロッパで創りたいと
強く願ったことにあります。
その王のもと錬金術師であった
ヨハン・フリードリヒ・ベットガー を監禁して、
磁器製造の秘宝を研究させました。
苦難の末ベットガーは
1708年に磁器に近いものを
作り上げ、翌年には
白磁製法を解明、
1710年、ついに
ヨーロッパ初の硬質磁器窯
「マイセン」が誕生します。
ポーセリンアートの基礎知識~素晴らしいマイセンの磁器製品たち
硬質磁器の製法を解明した
マイセンでは
金彩や美しい装飾を施した
素晴らしい製品を
次々に世に送り出しました。
繊細なシノワズリ(東洋趣味)の
世界を磁器の上に施した
天才絵付け師ヘラルド、
鳥や胴部を造形化し、
フィギュア(陶磁器の人形など)の
原型を作ったことで知られる
彫刻家ケンドラーなど
多くの人物を輩出して
陶磁器界の頂点を極めました。
第二次大戦後は東ドイツに属し
国営マイセン製陶所となりましたが
優れた伝統に甘んじることなく
常に新しい美意識を求め
若い人材の育成に努めてきました。
そのあまりにも素晴らしいデザインは
模倣品も多く作られるほどです。
1品1品手描きによって作られる作品は
今でも不動の人気を誇っています。
マイセンではテーブルウェアだけでなく
先生な細工の磁器人形や彫刻も
多くの作品が作られています。
ポーセリンアートの基礎知識~マイセンの絵付けについて
これまでの記事でも書いてきましたが
ポーセリンペインティング
いわゆる絵付けには大きく分けて
上絵付(オングレーズ)と
下絵付け(イングレーズ)と
染付があります。
そのうちマイセンで言う
下絵付けは染付を指します。
下絵付けの場合は素焼きの素地
(ビスク)に絵付けを施してから
1400度~1450度で焼成します。
下絵付けはレンガのような状態の
多孔質(細かい穴が沢山開いている)
の素地に絵付けするので
絵の具は描いている間に
ぐんぐん浸み込んでいきます。
失敗しても修正できないので
非常に高い技術を必要とします。
代表的な絵柄は
ブルーオニオンでしょうか。
1739年にクレッチマーが
中国写しの染付の技法を生かして
完成させた絵柄です
これはもとのデザインはザクロですが、
これを玉ねぎと間違えたことから
生まれたデザインだと言われています。
ブルーオニオンのデザインは
世界中で愛されています。
マイセンだけではなく
今では様々なメーカーが
ブルーオニオンの模様の食器を
製造していますね。
ドイツのフッチェンロイター
のブルーオニオンも有名ですよね。
現在世界中に50種類の
ブルーオニオンが存在すると言われており
その中でもオリジナルのマイセン
のほかに、フッチェンロイター
チェコのカールスバードが
世界三大ブルーオニオンと
言われているそうです。
マイセン、フッチェンロイターは
すぐに思い浮かぶほど有名ですが
チェコのカールスバードは
あまりなじみが無い気がします。
私だけかな?
ポーセリンアートの基礎知識〜初期のマイセン磁器に色は無かったんです。
ところで、マイセンの磁器と言えば
色鮮やかで繊細な花々の彩色を
思い浮かべる方がほとんどだと思いますが
初期のマイセン磁器には
彩色は施されていませんでした。
まだ色についての研究が途中であったことで
初期の磁器には主に
金彩が多く施されていました。
写真のコーヒーセットは
マイセンの初期の特徴をよく表しています。
白磁はマイセン磁器発明者の
錬金術師である
ヨハン.フリードリヒ.ベドガー
が開発したもので、
ベドガー白磁と呼ばれています。
器のデザインはドレスデンの
金細工師のヨハン.イルミンガー。
ヨハンはベドガーからの信頼が厚い
人物でした。
彼は金属製の器の形を元に
マイセン初期の様々なテーブルウェアを
デザインしています。
こちらの写真のコーヒポットは
その中でのトルコの金属製の形を
元に作られています。
また、当時の磁器で作られた
コーヒーカップには取手はついていません。
まるで日本茶の湯呑みのような形に
深さのあるソーサーがついています。
深さのあるソーサーである理由は
当時のお茶の飲み方のスタイルが
カップに入れたお茶を
一旦、ソーサーにこぼして
お皿から飲んでいたからだとか。
ヨーロッパの人々は総じて
猫舌であったことから
そう言った飲み方のスタイルが
常識であったようですが
なんだか想像するとおかしいですよね。
気取ったドレスを身に纏った
ご婦人方が
お茶をカップからお皿に移して
啜って(すすって)いる姿、
今そんなことをしたら
「お行儀悪いからやめなさい」
って、怒られそうです(笑笑)
初期のマイセンのカップには
取手がありませんでしたが
数年ごの1730年頃には
取手のついているカップに
形が変わり、定着していたようです。
古代ギリシャの時代から
ヨーロッパには取手のついた
器が多く存在しましたから
自然な流れと言えますね。
ポーセリンアートの基礎知識〜磁器フィーバーの立て役者はこの人
17世紀になって
オランダの東インド会社がもたらした
東洋の磁器が貴族の間で
大ブームとなります。
商才に長けたオランダ人たちは
東洋の磁器をお手本にして
錫白釉陶器(すずはくゆう)の
技法を駆使して
デルフト磁器という
ブランド磁器(本当は陶器)を売り出します。
各国の王侯貴族たちも
磁器生産を国家政策の一つして
高い関心を集めていきました。
その中でも特に磁器の収集に熱心だったのが
フリードリヒ.アウグスト1世です。
彼は錬金術師であるベドガーを幽閉し
磁器製造の研究をさせます。
ベドガーはアウグスト強王の
財政顧問であり、磁器製造にも
関心の高かったチルンハウスと共に
鉱山大国ザクセンの鉱山技師の力を借りて
各地から様々な土を取り寄せ
研究を重ねました。
そして5年後、ついに
磁器に最も適した土である
カオリンを発見し、それを
高温で焼成することによって
磁器が製造できることを発明しました。
アウグスト強王に幽閉され
何度も逃亡を試みながらも
連れ戻されていたベドガーの
努力の賜物と言えますね。
そしてこれを機に
チルンハウスはアウグスト強王に
磁器製作所設立を提案しました。
そして1710年1月23日、
ヨーロッパ初の硬質磁器制作所設立に際する
特許がザクセン選帝侯国選帝侯
フリードリヒ.アウグスト1世により
宣言されました。
マイセン磁器が開発されて
20年ほどでその肌色は
どんどん白くなっていきます。
現在では滑らかな肌質と
白い磁器に描かれた優美な絵柄は
世界中の磁器愛好家の羨望の的ですね。
まとめ。マイセンの歴史について
さて、以上でマイセン磁器製作所の
成り立ちまでの歴史を
簡単にまとめてみました。
人に歴史ありとよく言いますが
食器にも同じように
深い歴史がありますね。
何事も無駄になるということって
実は一つもないんだなーと
人生の折り返し地点を通過すると
いろいろと実感することが
増えてきましたが…
おっと、
今回はこんな感傷的なことではなく
これからマイセンの食器を手にされるときに
ここまでの芸術作品を生み出してきた
職人の方々にも
想いを寄せてもらえたらいいなと
いうことですね。
世界最高峰であるマイセン磁器についての
資料は私が持っているだけでも
5〜6冊あります。
世の中に出回っている資料や
本は数えきれないことと思います。
もっともっと深掘りすれば
キリがないくらいですが
磁器製作所設立以降の
素晴らしい磁器製品についてのお話は
またの機会に書きたいと思います。
せーたん
マイセンみたいな食器を絵付けしてみたい!
わかります!
わたしも絵付けを始めたきっかけは
「自分でマイセンみたいな食器が作れるの?すごい!」
からでした!
でも食器に絵を描くって、むずかしそうだなー
そう思いますよね?
でもだいじょうぶ!
方法は2つあるんです。
それは
お皿にシールを貼ってオリジナルの食器をつくる
ポーセラーツ
という方法。
もうひとつは
お皿にアウトラインがついている食器に
塗り絵みたいに色を塗って仕上げる
彩色チャイナペインティング
という方法。
アトリエセランでは
どちらの方法でもお作りいただけます。
詳しくは
に概要が書かれていますので
ぜひご覧ください。
また、ご質問のあるかたはお気軽に
こちらから今回はこの辺で。
ありがとうございました。
またねー