【意外と知らない?】陶器と磁器の違いってなんですか?



こんにちは。

神奈川県川崎市の磁器絵付け教室
アトリエセラン なが田カガリです。

 

みなさんは

【陶器と磁器の違い】について
なにが違うのかを説明できますか?

 

せーたん&ふわたん

和食器が【陶器】で洋食器が【磁器】でしょ?

 

ぼっくん

ふだんから【陶磁器】って言い方をするから同じなんじゃないの?

 

あらあら、
やっぱり勘違いしてるみたいだね。

たしかによく、
【陶磁器】という言い方を
するので
同じものだと思っている人は多いのですが、

実はここに違いがあります。

 

CHECK!陶器はでできていて
磁器はからできています。

 

ここが大きな違いなんですが、
どういうことがわかりますか?

 

せーたん

ちょっと意味がわからないんですけど…

 

 

そうだよね。
なんとなく、
粘土はイメージできるけど
?ってどういうこと?

って感じだもんね。

 

陶器と磁器は
原材料に含まれる成分の
配合がが違うのですが

そこまで理解しているひとって
少ないと思うので

今回はこの違いを
しっかりとお伝えしますね。

 

ちょっと専門的なことも
含まれますが

この記事を読んだら
区別がつくようになると思うので
ご自身で食器を購入される際に
お役立てください。

 

この記事を書いている私は
・絵付け歴25年
・ポーセラーツ認定講師
・彩色チャイナペインティング本部講師
・ペット肖像画作家

をしていて、

「陶芸の先生なんだね」
と間違えられちゃう人です。

 

それではさっそく
本題に入りましょう。

 

目次

陶器と磁器ってなにが違うんですか?

陶器と磁器の違いとは

 

先ほどご紹介した通り
陶器と磁器はメインとなる素材が違います。

もっと詳しく言うと
原料に含まれる成分の配合の違い
によって

陶器と磁器に分けられます。

 

前述のとおり
陶器は土
磁器は石

が原材料なのですが
産地でも性質は変わります。

 

だから、
備前焼とか、九谷焼とか
有田焼など

産地ごとに地名が
ブランドとなっているんですね。

 

地域で取れる粘土や石に含まれる
原材料の成分はそれぞれですが

たとえば備前焼は粘土を成形して
食器を作っているので
陶器または土ものと言われます。

 

有田焼は石(陶石)を粉砕した粉が主成分で
磁器と言われ、光にかざすと
少し透けて見える(透光性)があり
たたくとチンチンとガラスのような
音がします。

これはなぜかというと
石の中に含まれる成分に
ガラス成分が多いからなんです。

 

陶器になる粘土(陶土)にも
ガラス成分は含まれていますが
磁器に使う石ほど多くはないので

たたいた時の音は
低くて鈍いです。

 

そして、
ガラス成分が少ない粘土は
成形して焼いても
溶けるガラスが少ないため
膜(まく)ができないので
ザラザラした穴だらけの状態(素焼き)になり

このままの状態でお水を入れても
目に見えない小さな穴から
水がしみ出してしまい、
食器として使用できません。

 

素焼きのお皿はこのままでは使えません

 

そこで、
いったん焼成して素焼きされたものに
下絵付けなど装飾を施してから

ガラスを主成分とした
釉薬(ゆうやく)を全体にかけて

さらに高温で焼成し、
コーティングします。

ガラスの膜でおおわれた陶器は
水分がしみ出しにくくなるので
食器や花瓶としての実用性が生まれます。

 

一方で、磁器も1回目に700~800度くらいで
素焼きをします。

この時点での焼成の目的は
成形したものの水分を限りなく少なくする
形を固着させる
ということです。

 

磁器粘土の中のガラス成分も
低温では完全には溶解しないので
陶器と同じように吸水性があります。

これが、たとえば
1300度で素焼きをすると
ガラス成分が溶解し、

粘度同士がくっつくので
固く、白く焼き締まり
吸水性がなくなります。

 

しかし一般的な素焼きの磁器は
吸水性のある状態なので
下絵付けなどの装飾をしたあとに

透明釉(フラックス)をかけ
1300度で本焼きします。

では今度はそれぞれの原料の
成分についてみていきましょう。

 

 

陶器と磁器の違いは原料に含まれる成分の配合の違いです

陶器と磁器の違い

 

陶器と磁器の違いは
ご理解いただけましたか?

 

陶器は土
磁器は石

 

がそれぞれの原材料でしたよね。

でもそれだけでは
説明としては不十分。

なぜなら基本的な材料はほぼ同じ。
決定的な違いは
原料の成分の配合の違いです。

 

 

せーたん

え?原料の配合が違うだけなの?知らなかったわ。

 

そうなんですよ。
もちろん産地ごとに特性があるので
まったく同じではありません。

だって同じなら
産地やブランドがなくなってしまうでしょ?

 

 

陶器と磁器の違い~一般的な原料の配合は?

 

 

陶器の粘土、磁器の陶石には
どちらにも
粘土、長石、けい石が含まれています。

この三種類が揃っていることで
成形が可能になります。

 

それぞれちゃんとした役割があり、
粘土はその名の通り
粘り気のある土で可塑性(成形しやすくする働き)
があります。

長石は自然界に存在する鉱石で
けい石(ガラス質)を溶かす
お手伝いをしてくれる物質です。

 

この三種類の原料が合わさって初めて
陶器や磁器を作ることができます。

 

 

陶器の原料の配合・特徴は?

陶器は土っぽいのが魅力だね

 

陶器は粘土の割合が高く、
完成した食器には土っぽさがあります。

原料の配合は
粘土50%
けい石30%または40%
長石20%または10%

です。

 

長石が焼けることで
けい石(ガラス成分)を溶かす
お手伝いをし、

溶けたガラス成分が粘土のすきまを
埋めてくれるので
粘土同士がくっついてくれます。

 

でもガラス成分は少ないので
粘土と粘土の間の隙間が
完全には埋まりません。

それで目に見えない小さな穴が開いた
多孔質の素地となり、
水がしみ出してしまいます。

 

なので、釉薬のかかった焼き物も
100%水をブロックすることは難しく、
花瓶など、ものによっては
じんわりと水がしみ出てくることがあります。

 

 

磁器の一般的な原料の配合・特徴は?

磁器はガラスが主成分です

 

磁器の原料は陶石と呼ばれる
花崗岩が半風化した石で
石英(水晶)、長石、けい石
そして鉄分を含む石です。

これを細かく粉砕すると
粘性が生じて石由来の粘土になります。

 

さらに鉄分を除去したり
成形に必要な
長石、けい石、カオリンを配合し

磁器の原料にします。

 

配合は以下の通り
けい石40%
長石30%
粘土30%
です。

ご覧の通りガラス成分が
全体の70%を占めています。

 

細かい成分の説明は割愛しますが
もっと知りたいひとは

ノリタケショップ陶仙

に詳しく記載されているので
ご覧になってみてください。

 

 

陶器と磁器の違い~地色の違いは?

 

一般的な陶器は
素焼きの状態では
白ではなく、まろやかな肌色や
赤味のある色をしています。

本焼き後も釉薬のかかっていない
部分、たとえば高台などは
素焼きの色のままです。

 

しかし、磁器は素焼き状態では
まろやかな肌色ですが

本焼き後の焼き上がりは
白や青味かかった白、
黄味がかった白など

全体的に白い色をしています。

主成分の違いもありますが
この、白を出すために欠かせないのが
カオリンという成分です。

 

 

カオリンとは?

 

カオリンとは磁器の白を作っている成分で
中国の高嶺山(カオリン)で産出されることから
カオリンと呼ばれています。

成分名はカオリナイトと言います。

 

その昔、ヨーロッパなどの海外では
このカオリンが採れなかったため
研究に研究を重ねた結果

牛の骨を焼いて粉砕したものを
原料に混ぜて
ようやく白い色が出せるようになった
という歴史があります。

これがいわゆる

ボーンチャイナ

です。

 

骨を使って中国磁器を真似た
骨中国(ボーンチャイナ)とは
そのままの呼び名ですね(笑)

 

ただ、カオリンもボーンも
このままでは成形はできないので
(カオリンも骨も砕いても粘性は生まれない)

粘土やガラス質の鉱石と混ぜます。
その際同じカオリナイトを主成分とし
色も比較的白さのある

蛙目粘土(がいろめ粘土)を
配合します。

 

蛙目粘土は
可塑性(形を成形させる)のある鉱石で
石英(水晶)の成分が含まれています。

カオリンやボーンチャイナは
高級食器に含まれる成分なので
ご存じの方も多いですよね。

 

ボーンチャイナの意味が
分からなかった人も
多いと思いますが

まさかボーンチャイナのボーンが
本当に骨だったとは⁈

びっくりですねー( ´艸`)

 

日本のボーンチャイナ製陶メーカーの
NARUMIさまが製造から出荷までを
わかりやすく動画で公開しています。

よかったらご覧になってみてくださいね。

 

転写紙を貼ったり、
金彩を施しているシーンも出てきます。

ポーセラーツを楽しんでいるひとにも
興味深い動画ですよ。

 

 

陶器と磁器の違い~焼成について

 

陶器と磁器では
焼成温度にも違いがあります。

それから、陶芸をたしなんでいるひとは
ご存じかと思いますが

焼成にも方法があって

酸化焼成還元焼成と言うのがあるんです。

 

かんたんに説明すると
焼成の最中に
酸素をたくさん入れるか

酸素を断って
不完全燃焼の状態で焼成するかの
違いなのですが

 

同じ釉薬を使っても
酸素があるか無いかで化学反応が違うので
完成品の色が変わるんです。

不思議~~‼

 

 

で、焼成温度ですが
陶器の方が磁器よりも
低い温度で焼成します。

陶器はだいたい1200度
磁器はもう少し高温で1300度くらい。

 

陶器は酸化焼成でも還元焼成でも
その時に表現したい色の出方を考えて
焼成方法を変えます。

磁器は酸化焼成することで
白い白磁になります。

 

陶器と磁器の見分け方は?

 

 

 

ぼっくん

違いはわかったけど、どこで見分けるんですか?

 

 

陶器と磁器ってたしかに
見分け方がわからないですよね。

私がおすすめする見分け方は
以下の二つです。

1.器をひっくり返して高台を見る

2.軽く叩いて音で確認する

 

1.器をひっくり返して高台を見る

一番簡単なのは
器の糸底(高台とも言います)を
見てもらうことだと思います。

 

たとえばお茶碗なら、
陶器の場合は糸底の色が
素材となる土の色のままで、
肌色や茶色だったりします。

また、土の種類によりますが
触ると少しザラザラしていたり
ごつごつした感じがあります。

吸水性があるので
お水を垂らすと吸い込みます。

 

磁器は高台の色は白く、
触ると比較的滑らかな印象です。

釉薬のかかっていない部分でも
固く焼き締まっているので
吸水性はあまりなく、
お水を垂らしても
あまり吸い込みません。

 

2.軽く叩いて音で確認する

叩いたときの音も
陶器か磁器かを
見分ける参考になります。

ツメ先で叩くと
陶器は低い音、
磁器は高い音がします。

 

この音の違いは
生地の厚みや
細かい穴が無数に開いているか
生地そのものがガラス成分で
覆われているかの違いです。

どちらなのかよくわからない時は
この2つの方法を
試してみてくださいね

 

 

まとめ

 

いかがでしたか?

今回は陶器と磁器の違いについて
わかりやすく書いてみましたが

専門的な成分についても触れたので
少し難しい内容もあったでしょうか。

ここで簡単におさらいしてみましょう。

 

陶器の特徴まとめ

 

・陶器は粘土から作られる
・土ものとも言われる
・完成品は地色が肌色や赤味があり厚みがある
・原料の配合は粘土50%・けい石40%・長石10%
・素焼きの状態では水がしみ出してしまう
・本焼きの焼成温度は1200度くらい
・酸素を取り入れた酸化焼成と不完全燃焼の状態で焼く還元焼成の両方を使い分けて焼成する
・本焼きしたあとも釉薬のかかっていないところから水がしみ出てしまうことがある

 

 

磁器の特徴まとめ

 

・磁器は陶石を粉砕したものからできている
・完成品は白くて薄い
・透光性があるので光にかざすと透ける
・たたくとチンチンと高い音がする
・ガラス質が主成分
・原料の配合はけい石40%・長石30%・粘土30%
・カオリンという素地を白くする成分を混ぜている
・カオリンが手に入らないヨーロッパでは牛の骨を混ぜたことからボーンチャイナが誕生した
素焼きの状態では吸水性があるが高温で焼成すると吸水性はなくなる
・本焼きの焼成温度は1300度くらい
・酸化焼成がメイン

 

陶器というと和食器をイメージして
磁器というと洋食器をイメージしますが

原料に含まれる成分の配合によって
陶器か磁器か違ってきます。

和食器として使っている有田焼波佐見焼
【陶器】と思っている方は多いかと思いますが
実は産出される土にガラス成分が多い磁器なんです。

↑↑↑これ重要‼

 

普段なにげなく【陶磁器】と言っていますが
こんなにたくさんの違いがあるんですね。

これから食器を選ぶ際に
これらのことを思い出していただくと
嬉しいです♡

 

余談ですが…

 

わたしが絵付け教室をしているというと、
「旅行に行ったときに体験できるアレ?」
と聞かれることがあります。

うん。
まあ、ハズレではないんだけど

皆さんのイメージの絵付けとは
素焼きに絵付けをするだと思うので
多分違うのではないでしょうか?

素焼きに絵付けをする体験は
陶芸教室などで多くみられますが、

私のお教室では
製品化されている磁器に絵付けをしています。

体験レッスンもできますので
ご興味のあるかたは
こちらもご覧いただけると幸いです。

 

*合わせて読みたい*

 

コロナがあけたら
旅行に行きたいなーと
思っているひとも多いと思いますが

そんな時に旅行先で
絵付け体験をすることもあるかもしれませんね。

その際に、体験できる施設に

陶器に描くのか
磁器に描くのか
上絵付け体験なのか
下絵付け体験なのか

あらかじめ確認をしておくと
ご自分がどれを体験するかで
「なにを描こうかな~」

と考えやすくなり
より楽しめると思います!

以前の記事で
上絵付けと下絵付けについても
書いていますので

なんのこっちゃ?なひとは
ご一読いただけたら嬉しいです。

こちらの記事の後半で
上絵付と下絵付けの違いについて
書いていますので

「目次」をタップしていただくと
目的の項目までジャンプできます。

 

*合わせて読みたい*

 

こちらでもかんたんに説明させていただくと

素焼きのお皿に絵を描くか

素焼きに絵付しているところ(下絵付け)

 

ツルツルの完成したお皿に絵を描くかの違いですが

お皿に絵付けしてるところ(上絵付け)

 

上絵付けのような
完成している食器に
絵付けする方が
気軽に体験できるので

初心者さんには始めやすいです。

なぜなら、
上絵付は絵の具が素地に染み込まないので
失敗したら簡単に消したり修正ができるからです。

下絵付けはザラザラの素焼きに絵付けするので
失敗しても消せません。

で、絵付けをするにあたって
磁器に絵付けをするのか
陶器に絵付けをするのか

自分がどちらに絵付をするのか
たぶん、あまり
深く考えてはやってないですよね。

陶器でも磁器でも絵付けはできます。

しかし、磁器の方が
思った通りの色が出しやすいです。

有田焼や波佐見焼も和食器ですが
磁器なので、
和食器として和風の絵付けができます。

洋食器よりも和食器をを絵付けしたい
というかたも
気軽に体験レッスンを受けていただけるので

コロナがあけたらぜひ
オリジナル作品を作りにいらしてくださいね。

絵を描くのが苦手な人でも大丈夫!
転写シールを貼ることで
世界にひとつのオリジナル食器を作ることができる

ポーセラーツも体験できますよ。

こちらからいつでもお気軽にお問い合わせください。

友だち追加

 

ということで、
今回はこんな感じです。

 

またね!

 

お友達になってね💗