ポーセリンアートの基礎知識〜ポーセリンペインティングの歴史

こんにちは。

なが田カガリです。  

 

今日はポーセリンアートの歴史について

色々書こうと思います。

 

ポーセリンアートの 歴史は古く、

時代の波に翻弄されつつ

様々なスタイルに変貌しながら

今に至っています。  

 

今回はポーセリンアートの

始まりの起源から

紐解いてみましょう。

 

目次

ポーセリンアートの基礎知識〜ポーセリンアートの起源はいつ頃なのでしょうか

現代のマヨリカ陶器タイル

 

ヨーロッパの焼き物の歴史で

最初に美術的に注目されるのは

紀元前3000年頃から地中海に栄えた

古代ミノア文明の土器です。  

 

初めは稚拙な、

しかし跳躍的な動植物の描かれる時代が

長く続きましたが、

 

やがて人間の姿が登場するようになり

優れた感情表現にまで到達したのが

紀元前5世紀頃のギリシア陶器でした。  

 

その後ローマ帝国繁栄の時代には

緑や褐色、黄色などの

釉薬のかかった陶器も作られました。

 

 中世においてヨーロッパよりも優れた

製陶技術を持っていたのは

東のイスラム世界でした。  

 

鉛釉に錫を混ぜて焼くことで

白い地肌を作り出し、

錫白釉陶器(すずはくゆう陶器)

と呼ばれています。

 

現代のマヨリカ陶器タイル(Wikipedia)

 

 これは白磁の先進国である

中国に対抗して生み出された陶器で

白地の上に多彩色の絵付けを

施すことができました。  

 

また、黄金にも似た輝きを放つ

ラスター彩の技法を開発したのも

イスラムの陶工たちでした。  

 

現在も人気のあるラスター彩が

こんな昔に既に開発されていたなんて

ちょっとびっくりですよね。

 

その後、

錫白釉陶器(すずはくゆう陶器)は

13世紀のころ、

イスラム支配下のスペインを経由して

イタリアに伝わります。

 

イタリアでは

イスラム教では禁じられたいた

偶像崇拝についての制約がなかったことで

陶器の白地をキャンバスに見立て、

女性の姿や神話に基づく

絵画が描かれました。

オークション
1700年代 スペイン古窯 マジョリカ 女性像 六角陶板。 非常に貴重なものです。オークションで見て驚きました。

マヨリカ陶器と呼ばれる

イタリアの

錫白釉陶器(すずはくゆう陶器)は

15~16世紀に数多くの名作が生み出されています。

 

まさにこのころは

ルネサンス文化が花開いた時代でした。

 

マヨリカ陶器の技法は

イタリアからヨーロッパ各地に伝わり

様々なバリエーションを生み出しました。

 

こうした白地の陶器が

広まった背景には東洋の白磁や染付け

色絵磁器へのあこがれがありました。

 

そのきっかけになったのは

オランダ東インド会社などがもたらした

大量の白磁が影響しています。

 

東洋の白磁は大変高価でしたが

当時の王侯貴族たちは競うように

買い集めました。

 

これがきっかけとなり

東洋の白磁の製法が知られていない中

独自に磁器製造を試みました。

 

そして、18世紀に入り、

マイセンがヨーロッパ最初の

磁器制作を成功させました。

 

しかし、当時は戦乱の時代。

 

マイセンは戦争の混乱と共に

衰退していき、

マイセンに台頭されたのが

セーブル窯です。

 

しかし、時代の変化により

当時産業革命により

飛ぶ鳥を落とす勢いであった

イギリスのウェッジウッドが

 

大量生産できる工場を有し

一般に広く普及させることとなりました。

 

※陶磁器の歴史については

大平雅巳氏著書

『西洋陶磁入門』を参考に

書かせていただきました。

 

ポーセリンアートの基礎知識~ヨーロピアンスタイルの陶磁器誕生の歴史

レオナルドダヴィンチの黄金比

 

ポーセリンアートや

ポーセリンペインティングとは

以前の記事でも描きましたが

 

ポーセリン=陶磁器

アート=美術

ペインティング=絵を描く

 

つまり、陶磁器に施す

美術作品のことです。

 

また、この中でも様々に細分化されますが

今回はヨーロピアンスタイルの

ポーセリンアートについての

歴史をお話ししています。

 

芸術品として確立されている

ポーセリンアートに

中国の磁器や日本の柿右衛門などの

陶磁器の歴史についても

避けて通ることはできませんが

 

今回はヨーロピアンスタイルに特化して

お話ししたいと思います。

 

先ほど書いたように

古代から焼き物は生活には

欠かすことのできない道具でした。

 

原料である土が容易に手に入ったことや

土の性質が高温で加熱することで

硬く焼き締まり、

成形もしやすかったからです。

 

特にメソポタミア地域は

焼き物を作る条件が揃っていたため

焼き物の先駆となり

世界中に伝播されていきました。

 

その当時ヨーロッパでは

生地のぽてっと厚い

陶器が主流でしたが

 

シルクロードの交易により

絹と共に東洋の磁器がもたらされました。

 

中国の磁器や日本の柿右衛門や伊万里は

ヨーロッパ人のあこがれの的でした。

 

そしてついに1709年、

錬金術師のベットガ―により

繊細で白い肌地を持つ

磁器の焼成に成功しました。

 

これがマイセン窯の始まりです。

 

磁器の製法は門外不出とされ、

ベットガーはこの磁器を生み出すために

終生人と接することを禁じられ

幽閉された自由を奪われた

悲劇的な人生を送ったことは

陶磁器愛好家に

良く知られていることですね。

 

しかし、秘密ってやっぱり

どこからは漏れてしまうもの。

 

悲しいかな

ベットガーが命を懸けて生み出した

磁器の製造法は

いつの間にかヨーロッパ全土に広がり

今日の素晴らしい磁器製品が

ヨーロッパ中で製造されることと

なったのです。

 

ポーセリンアートの基礎知識~フレンチスタイルについてのお話

 

1738年、パリ近郊のヴァンセンヌに

軟質磁器の会社が設立され

ルイ15世や

ポンパドゥール夫人に愛されたことで

有名になりました。

 

その後1756年にセーブルに移転し、

翌年に王室御用達となったことで

ヨーロッパの陶磁器メーカーの中で

先駆け的な存在になりました。

 

1771年になると

硬質磁器が生産されるようになり

繊細で優雅な形の製品が

出来るようになったことで

 

鮮明で細かい装飾が施された

優雅な作品が作られるようになりました。

 

フレンチスタイルとは

リボンとアラベスク
(アラブ風つる草模様)と共に

鮮やかな色を使い

様式化されたデザインを

正確なストロークで描くことを意味します。

 

ポーセリンペインティングを学ぶ際、

このように様式化された模様やデザインが

既にあるというのは

 

想像力が湧かないと

描けないのではいだろうか…と

不安に思われる人にとっても

模写することで素晴らしい作品を作る

機会がたくさんあるということです。

 

この辺りは

ポーセリンアートを始めるのに

かなりハードルが低くなる

よいことですよね。

 

いかがでしたか?

今回はちょっと難しいお話でしたが

ポーセリンペインティングに興味を持つと

様々な食器メーカーの

特徴や、歴史にも段々と

興味が湧いたり、

そもそも、いつから

こんなに美しい食器があるのかしら?

など、ただ描くだけではなく

食器そのものにも

好奇心が芽生えたりすることがありますね。

 

そんな方の参考にこの記事が

少しでもお役に立てればうれしいです。

 

ありがとうございました。

 

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